中学生の頃、私はあまり笑ったり泣いたりするほうではなかった。
友人に「笑わないほうがカッコイイから、仏頂面で居て。」なんてことを言われて以来、笑うことを拒否してたので…あまり笑って過ごした記憶が無い。
また、泣くという事に関しては…「女は泣けば何でも許されると思ってる。」といわれることが気に入らず、泣かなくなった。
私自身、ちょっとしたことでメソメソ泣くような女は正直あまり好きではない。
私のコトバはキツイとよく指摘されるんですけど、そのこともあって中学のころも相当周りの女友達やクラスメイトを泣かせた記憶がある。
「何でこんなことで泣くんだろう?」
私はそう思うんだけど、周りは決してそうは見ない。
泣かせた私を頭から非難し、泣いている女の傍に寄り慰める。
どんなに正当なことを指摘して、その結果泣いてしまったとしたって、「泣かせた」という事実だけしか見えていない周りの人間には、私が悪者に映るのだ。
中学3年のとき、通っていた塾で同じ学校の…同じ3年生の女の子に、ちょっとした冗談のつもりで言った一言。
「お前は“ああ”はなれないよw」
憧れている女優さんの話か何かをしている時だったと思う。
そんなことを会話の流れでサラリと言った私。
言った次の瞬間には、もうその子はポロポロと涙をこぼしていた。
小さな塾の狭い教室。 変える間際のことだったから、教室に残っていたのは私とその子のほかに同じ学年の塾生数名。 それにその日の教科担当の先生が二人。
気まずい雰囲気が流れ、またいつも通り私には周りの冷たい視線が刺さる。
話の流れは全員聞いていた。
私は泣かすほどヒドイ言葉を投げたんだろうか…
いくら考えたところで、普通に受け流してくれればイイだけの冗談じゃなかったんだろうか…
“謝れ” “ヒドイ” “なんでそんなこと言うの?”
そんな視線をぶつけられて、私も意固地になって決して謝ったりはしなかった。
「冗談じゃん。 何で泣くわけ?」 と、追い討ちをかけるように口をついた言葉に更に反感を買う。
もういいや・・・どうせいつものことだ。 私が悪者でイイデスヨ。
そんな風に思ってたら、仕切りの向こうから覗いた先生が割って入った。
「今のは泣くところじゃないだろ~w」
そう笑いながら。 20代後半くらいの男の先生でした。
小さな塾だったので、先生と生徒は基本的にトモダチのように仲が良かった塾でしたからね。 こんな風に会話に割って入ってくることは日常茶飯事だったからね。
その時にその先生が言った言葉が、凄く心に残ってる言葉なんだよね。
女は男が絡んだ時にだけ泣け。
男絡みで泣いた経験は、それだけイイ女になることになる。
無闇に涙を流す女は、あまり魅力的じゃない。
そしてその後に私を見て言った。
「月神は泣かないだろ? こういう女はイイ女になるよ。」って。
嬉しかった。 みんなが私を責めるような目で見る中にこんな風に仲裁に入ってくれる大人は、学校の先生には居なかったし。
大抵大人…それも男の人は泣いてる女の味方に付くのに、「泣くところじゃないだろう」と私を正当としてくれた上に、褒め言葉まで貰った。
私は今でもこの先生のこの言葉を忠実に守っている。
恋愛が絡めば泣く時もある。 仕事や交友関係で悲しいことや悔しいことがあっても基本的には泣かない。
どんなに泣きたくても、涙は絶対に流さないように努力している。
それで私がイイ女になれているのかはわからないし、その言葉もその先生の持論であって、一般論ではないのはわかっている。
それでもあの時そういわれたことで、「泣かなくて可愛くない。」といわれても悔しいと思わなくなった。
この先もずっと、私が「女」である限りは…
私はずっとこの言葉を忘れずに生きると思っている。