胡桃2 :見えない繋がり

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完全公開 胡桃2 :見えない繋がり

いつから好きになっていたんだろう。

いつから、目で追うようになっていたんだろう。

いつから、声を認識できるようになっていたんだろう。

気づくと、そこに彼は居た。

同じ病院で入院していた人で、当時は何の病かもわからなかったけど。

病棟の、書籍棚に行くと、いつもそこで本を読んでいた。

ある時、私が返した本を、「あーそれ、読みたかったんだ」って言って声をかけた来た。当時は見るからに「元気」そうだったけど。


本の話から始まり、内容から、感想から・・・

意見は違ったりしても、いつも笑って聞いていた。

話せる楽しさより、受け入れてくれたという、安心感が心地よかった。


圭介 彼の名前だった。
私より3つ上の、大学生だった。(学校は違ったが)

驚くほど、本を読んでいた。それもジャンルも違うのに。

「広く浅くかな」

「ここは退屈だからさ」 

喫茶室の窓の外を眺めながら、そう話した。

「あのさ、知識として本にとっついてんじゃないんだ。時間つぶしだよな」

「あー、そうかも」


実際、身体が楽になっていた私も、時間をもてあましていた。

投薬・点滴などの、「やらなければいけないこと」をクリアーすれば、

比較的自由に動けたのだ。

彼が実際、どこが悪くて入院していたかは、聞いていなかった。

いや、聞けなかったのだ。同様に、彼も、私にはたずねてこなかった。

たとえ、聞かれても答えられなかったと思う。

無関心・・・自分の事に無関心になっていた。そう装っていたのだから。


それを尋ねない代わりに、圭介は聞き上手だった。

私は、少しずつ、自分をあらわにしていったのだと思う。

家の事、母のこと・・・学校の事

そして、今の病の事、聞かれないのに話していた私。

「お前って、意地っ張りだな」

「そっかな」

「もう意地張るなよ」

そんな会話も当たり前になっていった。

自分を繕わなくてもいい会話。

今までだって、恋をしなかったわけでもなく、

付き合わなかったわけでもないのに。

心地よい・・・そういう関係。

そんな彼にどんどん、のめりこんでいった。病棟の廊下で、彼をさがす。

用もないのに、図書コーナーに何度も通う。

飲みたくもない、お茶を給湯しに行く。

まるで、子犬が飼い主を探しあるくかのように、彼の姿を追った。

彼を探してるんじゃないのよって顔で、

でも、心の中では 「会いたいに!」「どこ?」と泣きながら。


エレベーターの中でばったり出会った時、
私はもう泣きそうだったのだと思う。

何も、言わずに手をつかみ引き寄せられた。

「ここにいるから。心配すな」

そういって、屋上のボタンを押した。


「風もないな」

屋上にでた彼は、そう言うと私を外に促した。

陽の光が目に痛い。

「暖かいね」 歩きだした私の手を握り、「走るんじゃねえぞ」と笑った。

外・・外の空気は、アップアップしていた私には、ご馳走だった。

思ったより、狭い屋上。

フェンス越しに見える町並み。路面電車も見えて来た。

「俺な、お前の事、好きだから。大好きだから心配するな」

繫いだ手を、フェンスの上に出して彼が言う。
通りを見ながら彼が言う。

「ほら、手は繋がってるのは、見えるだろ?気持ちの繋がりは見えないだろ」

「うん」

「でもな、俺が繋がっているって思えば繋がっているんだ。お前もそう思えば、俺と繋がっているんだ。それが、信じるってことさ。」

「見えないからこそ、繋がっていられるんだ」

見えないのに、繋がる。見えないから繋がっていられる。

一種の、彼の人生観だったのかもしれない。
目で見えるものが全てではない。
そう、言いたかったのかもしれない。

いや、若かったんだろうな・・・二人とも。
言葉に酔っていたんだろうな。

「ひと目見た時から、繋がってるなって思ったんだ」

「俺は、こうなるって思ってたよ」

抱き寄せ、キスを交わし、何度も言う 「好きだから、大丈夫だから」


初めてでも無いのに、男を知らないわけでもないのに。

無性に振るえ、そして泣き・・・うなづく。



退院したら最初に何する??

この会話がいつもあった。

「海」 「外食」 「旅行」 「図書館」 「動物園」 ・・・・


でも一番は、二人で手を繫いで歩こうね・・・


そういって彼は、毎日のように顔を出してくれて、その頃には病棟でも認知され、

ひやかしの対象でもあった。

「定期便がきたよ~」そういって入って来た。

担当医などは、「これで、幸せ太りでもすりゃ、愛の力だよ」と笑っていた。


その度 「俺がいるから大丈夫です」と返す彼。


でもこの事は、2週間に1度来る両親には、話せなかった。

父にだけ、話したいと思っていた。永遠にその機会はなかったが・・・。


しゃんび〜さぁん 復活!おめでとう〜 読んでくれてありがとう〜 続き物になってるので…もしよければ…読んでやって下さいまし

by. べにこ

以前お邪魔したkayohime です・・・・訳あってハンネ変更しましました・・・。 思わず「見えない繋がり」にドキドキ…。 べにこさん 「見えないからこそ繋がってる」うん~いい言葉・・・早速 伝えたい人にメールしますね・・・。ありがとう。

by. かよんぬ

ミリちゃん? オホホ~ミリちゃんも乙女だよ~ 泣いたり笑ったり出来る女性は「乙女」なの!

by. べにこ

え~~そうなの~? 乙女なの~? 乙女心、わっかんなーい ^^♪

by. ミリオンベル

(*^.^*)ミリちゃん〜
ドキドキってさ〜乙女でしょ〜

by. べにこ


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恋愛かぁ~~ ドキドキしたり、トキメク感覚わからないよ~ お子ちゃまな私はさっぱり~~>< べにこお姉さんは大人の女性だね。 ^^

by. ミリオンベル

馨子さぁん~
出会いは、どこにでも転がっているのかもしえません。
この時は、病んでよかったって感じですぅ

by. べにこ

tukikoさぁん~ 今だから言えるけど、このまま二人とも病気でもいいやって^^;

by. べにこ

病院でそのような出会いができるなんて、健康に恵まれてよかったのか、ただ、心身ともに弱っているので、いい薬にはなりますよね。

by. 馨子

マーマーさぁん~ なんかね、仕草や声や、その時々は思い出せるの。でも、顔が思い出せない・・・記憶の引き出しにしまうって、こういうことなんかな。

by. べにこ

恋ですねぇ。 昔の懐かしい感情を思い出します。 病気になったから出会えた彼ですね。

by. tukiko

まやっち~ 誉めてもナンもないから~。 日記をお話しするのって・・・しんどいね。

by. べにこ

隊長~ 私は、「ハダカ」っす^^ いやぁ~裸になりたいっす~

by. べにこ

みどちゃん~
付箋ありがと!
うん、繋がりを信じるって、簡単そうでできないよね・・・

by. べにこ

まっし~
乙女でしょ^^
ホント、金魚のフンみたいだったよ。

by. べにこ

〇ちゃん~ そうかも、ジャンルを問わないてのは、この人に近づきたかったんだよね。 好きな人を真似したかったんだよ。

by. べにこ

あゅみちゃん~ ありがと。嬉しいな~

by. べにこ

まやちゃん~ 頑張るから、読んでね^^

by. べにこ

もんちゃま~ うん、私の原点は、全てここに、この人にあるのかもしれないんだ~

by. べにこ

カミツレさぁん 誰もが持ってる思い出の、ひとつですよん

by. べにこ

くるちゃん~ 恥ずかしいよ~

by. べにこ

スルスルと自然に読めてしまいます。
続きが気になるような、少し怖いような・・・

by. まやちゃん

べにちゃん。素敵な彼だ。なんか感動しちゃった。
目に見えるものがすべてじゃないのよね。
悲しい物語が待ってそうでドキドキしてるんだけど・・・
べにちゃんの本好きはここから来てるのかなぁ?

by. はなまる☆

ほんとに小説だ・・・
続きが早く読みたい!と思わせる小説です。。

by. まやっち

繋がり…べにこさんがいつも言う「繋がり」ですね。お腹の底にずーんときました。

by. もんど

ドラマみたい。
。。。ぞくぞく鳥肌たっちゃう。。。❤

by. くるちゃん

おねいさん、感動だ。

彼に会いたい、って、心の中ドキドキしてるのに、そんな素振りみせないように探してる姿・・・

恋する乙女です。

二人はどうなっていくの?

by. ましまろ*

おはようございます。
小説を読んでいるような映画を見ているよう・・
次はどうなるのか気になります、

by. マーマー

べにこさん、はじめまして。べにこさんの思い出話読ませていただいています。
繋がってると思えば繋がってる、それが信じるって事…いい言葉ですね。

by. みど

引き込まれてしまいました。
何だか心が温かくなりました。

by. あゅみ

まるで小説を読むように、引き込まれている・・・

by. angel☆

引き込まれて読んでしまいました(ToT)
べにこさんのあたたかい付箋…、色んな経験をされてあるのですね…。

by. カミツレ