情けない自分を包んだもの。

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瑠璃草
2007年12月20日 9:18 | 瑠璃草
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タグ [泣ける話(29)]

完全公開 情けない自分を包んだもの。

今、一歳になった娘がいる。
夫も子供を慈しんでいるし、私も娘が大好きだ。


でも、娘を胎内に宿したばかりの頃。
私と夫はまだ、結婚していなかった。
それどころか籍を入れたのは、出産の一週間前だった。


夫と出会ったのは、もう7年くらい前だ。
当時彼は、実家の借金を返済するために一人で上京し、もう10年以上過ごしてようやく返済が終わろうとしている頃だった。
お金に関してはその借金のせいか、貯めることはできなかったし貯めてもむだだ、という意識が強い人だった。

そんな彼は私を「さびしそうだ」と思ったと言う。

実際その頃私は男運に恵まれなくて、体が目当てと明言されたことまであったので男性不信に近い状況だった。
心が乾いていたから、さびしくないよ、と抱きしめてもらうまで悲しんでいたことに、鈍感になっていた。


それから付き合ってすぐに、二人とも結婚を意識した。
彼の借金を返済し終えて、仕事の都合が悪くて退職して、と色々なことが重なってずるずると両親への挨拶は遅れ

彼が信頼していた人の借金の保証人から、ちょっとヤバメの人に付き纏われたり。

私が昔の体目当てだと明言した男に軽くストーカーにあったり。


・・・色々あったんだなぁ('Д`;)


まぁそんな折に、ようやく仕事も安定したし挨拶に行きたいな、と彼が言った。
まだヤバい人に追われてるから籍を入れるのは遅れるかもしれないけれど、きちんとけじめをつけて一緒に暮らそう、と。

もちろん嬉しかったので了承。
親にも連絡。

さぁ挨拶の日取りを決めようか、と言っていた矢先に今度は彼が交通事故にあった。

まぁ仕事中(バイクで営業の移動中)にいきなり斜め後ろから車が突っ込んできて撥ねたという、彼に悪いところはひとつもなかったのだけれども。

当然、入院した。足を悪くした。

その頃私も体調に変化が出ていやな予感がしていた。

単純に言えば、避妊に失敗したのだ。
「らしい」兆候にそのときはまだ大丈夫、勘違いだ、と自分に言い聞かせた。


だってこのとき、彼と添い遂げたいと思う気持ちはあっても。
両親に反対されたときの覚悟や、出来婚のような覚悟はまるでなかったのだ。

入院が終わって自宅療養になっても、松葉杖が離せない彼は保険屋からお金が出ても、動きづらい分生活費がかさんで赤字→貯金を切り崩す。
そこに私の貯金を合わせて、あぁ本当にやっていけるだろうか、と思った。


そんな目先がわかっているのに、本当に妊娠していたら?
彼が暮らすのでも精一杯なのに、私が妊娠して働けなかったら本当に出産なんてできるのだろうか?
そんな子供を、両親は受け入れてくれるのか?

不安がネガティブな思考にばかり走らせた。
本当に宿っているなら、なかったことになってしまえば、なんて思ってはいけないことまで思った。


「検査薬買って来い」


もしかしたら、の話を、隠さずにしたとき彼は言った。
その言葉に後押しされたのかなんなのか、私は素直に買ってきた。

試したときは、陽性。
それを見せたときの彼は、満面の笑みだった。


「男の子かなぁ、女の子かなぁ。どっちでもいいけど、嬉しいなぁ」


馬鹿な人だ、こんなに生活が苦しいのに。
そう思ったのに笑った私も馬鹿だ。
こんなに嬉しく思ってくれて、生きがいが増えた、なんていってくれる人がそばに居たのに、私は一人で勝手に泣いていたのだ。

両親が反対しても、彼と生きていこうと思った。
その前に、きっと両親は反対しないだろうと思った。


その後、順番を守りたいとまず両親への挨拶を済ませ、写真を撮り(足が悪いのとお金がなかったので式はあげなかった)それから私と暮らす家へ彼も私も引越しをして、それから妊娠の話をした。

・・・そのときにはもう、7ヶ月に入っちゃったんだけど。

散々怒られた。
でもその怒ったのは
「妊娠5~6ヶ月の大事なときに引越し作業なんかしてたのか」
「妊娠で不安だったのをなぜ打ち明けてくれなかったのk」
だった。


あぁ私は馬鹿だった。
あったかい人たちが、いっぱいまわりにいたんだ。


体が弱くて、無事に生む自信がなかったから友達にもあまり言えなくて。
ようやくその暖かさに、周囲にも告げたらオメデトウ、とたくさん声をかけてもらった。

私はひとりで勝手に悩んで、勝手に苦しんでしまっていて。

たくさんのあったかさに、涙が出た。
嬉しかったし。
申し訳なかったし。


子供が生まれたとき、夫は「ありがとう」と言った。
でも疲れて私は何も喋れなかったけれども(前駆陣痛やらなにやらで色々あったので・・・)本当は、私が「ありがとう」と言うべきだったんだろうと思う。


「堕ろすな」と言ってくれてありがとう。
妊娠を喜んでくれてありがとう。
足の後遺症がまだあったのに、生まれてくる子供のために、と痛む足を引きずって仕事に戻ってくれてありがとう。
自分が辛いのに、私と子供の体のことばかり気にかけてくれてありがとう。

ノロウィルスにかかってるのに必死に毎日お見舞いに来てくれてありがとう(笑)←足の病院(別の場所)でもらってきた


他にもありがとうを言わなければならない人はたくさんいたし、もちろん生まれてきてくれた娘にも「ありがとう」。

多分、こうやって嬉しくて流す涙は、きっと綺麗な涙だから。
覚えていたい涙。
情けない自分を包んでくれた温かさからきた、涙だから。

良かったね。私も、病気になって。たくさん優しさを頂きました**その事を実感できて、病気とおつきあいしてます。ほんと、感謝です。幸せだね。

by. kokoro

周りの方々の真剣な気持ちがとてもステキです。

by. ノート

良かったね。暖かい人に囲まれてすっごく幸せですね(*´∀`)大切な話のおすそわけ、ありがとう。

by. きゅうちゃん


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