もう随分昔のことです。
ワタシは専門学校を卒業後すぐに上京し、東京で働きながらひとり暮らしをしていました。うちの両親は娘たちを手元に置くことを良しとせずに「学校を出してやったんだから、これからは女ひとりでも食って生きていけるよう頑張りなさい」というタイプだったので、進んで東京に出してくれたのです(ちなみにワタシが家を出た後、妹も進学で家を離れやはり東京で就職しました)。
4年後、いろいろ事情もあり会社を辞めて地元の札幌に戻ったのですが、地方の就職難を甘く見ていたせいで定職に就けず、契約社員やバイトなどをしながら実家に寄生しておりました。ただ、就職は上手くいかなかったのですが、なかなか格好良い(笑)彼氏ができてプライベートは充実、まぁまだ若いしなんとかなるだろうなんていう甘っちょろい考えで、仕事を探しながらも毎日ルンルンと(死語)楽しく生きてました。
そんなある日、東京の友人から電話がありました。彼女が働いている会社で営業を探している、彼女の上司と一時期一緒に働いていたワタシに白羽の矢がたったので、もう一度東京で働かないか?と言うのです。悩みました。仕事ができて尊敬できる上司の下で働くのはとっても魅力的ではあったけど、ちょっと前に東京から戻ってきた身だし、それに彼氏ができたばかりで、ラブラブ(死語)状態だったから…。
隠し事の出来ないタイプなので彼氏に事情を言いましたら、案の定絶句。仕事と彼氏で悩んでいるワタシが信じられなかったのでしょう。「おまえがやりたいなら行けばいい」「でも、遠恋は無理だから別れるってことだけどな」と言われました…ま、酷い彼女なので当たり前ですが(笑)。
もちろんワタシは悩みまくりました。このまま札幌にいても良い就職先があるかどうかわからない、でもまたひとりで東京に行くのにも不安がある、そして彼氏のことが大好きだから別れたくない…もう、ぐるぐるしてどうしたら良いかわからなくなってました。そのぐるぐる状況を冷静に見ていた父親が、ある日ワタシにこう言いました。
「たるみ(仮名)。男は星の数ほどいるけれど、自分がやりたいと思う仕事に巡り会える確率はほとんど無いも同然なんだぞ」「!!!(注:ワタシ)」。
もちろん父がワタシの彼氏を嫌っていたのではありません。家にも呼び一緒にごはんを食べたりして、交際はまずまず順調だったのです。しかもその時のワタシの年齢は、世間的には適齢期まっただ中だったのに、なのに父は「男なんて捨てて仕事しろ(超訳)」と言ったのです。
単純なワタシはそのひと言で吹っ切れまして(え)「やっぱ男より仕事だよねー」という状態で再度上京しました。もちろんラブラブな彼氏を札幌に置いて(後日談としてその彼はワタシを追いかけて東京に来たのですが、結局後々別れました/わはは)。
父の助言により入社したその会社での仕事は、とてもやりがいのある仕事でした。毎日超忙しいんだけどオイシイ思いもしたし(なんせバブル期)。その後に転職をしたのですが、運が良かったのかその会社でも良い仕事・良い同僚に恵まれました…もっと激務でしたが(涙)。
あの時にワタシの最大の転機となった言葉を贈ってくれた父は、昨年この世を去りました。会うとワタシの仕事のことばかり聞きたがった父。ワタシがバリバリ働いていることが一番嬉しそうでした…えーと、ワタシは息子じゃなく娘なんですけどもね…ふふ。そんな父のおかげで良い会社・良い仕事に恵まれたし、転職した会社で知り合った今のオットとも結婚できて現在も幸せに暮らしてます。あの時に「男は星の数ほど…」という言葉をくれた父親にとても感謝しています。